星空探検大作戦

ハクチョウとペリカンは仲良しだった?

前回の星空探検大作戦で行った奥日光・戦場ヶ原での天の川。
あのド迫力に悩殺されてしまい、またまた行ってしまった。

前回は普通の三脚に、カメラはペンタックスSPにタクマー24mmをくっ付けての撮影だったけど、
今回は気合充分、力こぶモリモリ状態での出撃。
使ったカメラは、前回の経験からアスファルトの駐車場では、ほとんど夜露も降りないようなので、
私の大切なお気に入りカメラ、LeicaM6ttl.にレンズはElmarit21mmF2.8を使用。
(あぁ〜、でももし夜露で濡れちゃったらどーしよー。)
更にGPガイドパックという強〜い味方も加わってのフル装備で出撃。

例によってコンビニで缶コーヒーとチューインガムを買ってLet’sGo!


・・・写真の上にマウスポインタをのせて下さい。・・・


2時間半の運転もなんのその。
朝までガンバレば、秋の星座から冬の星座まで、まとめてゲットだぁ。

と、意気込みは良かったんだけど、たったの4枚撮った時点で寒さのためギブアップ。
いつもの事ながら、根性ないなぁ。

そうは言っても一枚撮るのに露光時間が20分だから、がんばった時間は約1時間半。
何でそんなに時間がかかるかというと、奥日光の夜空は真っ暗け。
私の住む前橋では、たった5分の露光時間で夜空が真っ白の写真になっちゃうんだけど、
光害の少ない奥日光では20分でもビクともしない。
(フィルム感度がISO100の場合です。)
だから、天の川はもちろん、小さな星までバッチリ写るっていう素晴らしさ。

もちろん、気温が低いので、カメラ操作以外の時は暖かい車内に避難してたんだけど・・・、
事件は4枚目を撮り始めたときに起きてしまった。



私が撮影している駐車場に、軽自動車らしき車が入ってきて、ライトを点けたままウロウロしてる。
「バッキャロー!あのヤロー何やってんだぁ。」
と、怒鳴ってやりたい所だけど、自分専用の駐車場でもなければ、星撮り専用の場所でもないので、
ウロウロしてる車に背を向けて、ライトが撮影中のカメラに直接当らないように必死のブロック。
私の前に長〜く伸びるてるのは自分自身の影。
この影の中にカメラを入とかなくちゃ、写真がパーになっっちゃうよー。
今は、ジッと我慢の子だ!
それにしても
「バッキャロー!早くライト消せ〜。」

数分間ウロついた後、何とその車が私の近くへ来て停車、ようやく消灯、そしてエンジンが止まった。
「コノヤロー!」と思いながら、振り向いて暗闇の中に薄っすら見える車体に目をやると、・・・

オイオイ、何だいこの車は?
今どき白黒のツートンカラーなんて、カッコワリー。
それに、屋根に乗っかってるのはスキーキャリヤかな?
いくらなんでも、まだ雪なんてありゃしないよ。
ったくアホなヤツ・・・、

・・・って・・・アレ?
コレって・・・・・・パトカーじゃん。
そして、ドアが開いて降りてきたのは、制服を着たお巡りさん。


>こんばんはー、星ですか?

     アッタリメーだろ、この真っ暗闇の中、他に見える物なんか何もありゃしねーだろーが。
     あっ、でもこの人パトロール中か。
     そういえば、さっきまで意識的の背中を向けてたオレって、さぞかし怪しかったろなぁ。
     この寒い中、こうやって市民の安全のためにパトロールしてくれてるんだ。
     コリャありがたく思わなくちゃバチがあたるよなぁ。

>はい、ココの夜空は最高っスねぇ。

>そうですね。
  自分もこっちに赴任して、星の多さにはビックリしました。
  そういえば、いつも星を見に来てる方、今夜は居ないなぁ。
  寒いから風邪をひかないように気をつけて下さいね。

     ヘェー、こんな所にも常連さんがいるんだ。
     確かに見事な星空だけど、ここで常連ってのはスゲーよなぁ。
     気をつけて、って言えば風邪より熊のほうが怖いんだけどなぁ。

>はい、ホント寒いっスねぇ。
  そういえば今年は随分と熊が出没したみたいっスねぇ。
  最近はどうなんスか?

>はい、今年は熊がよくでましたね。
  自分はパトロール中に、すぐそこで熊をひきそうになりましたよ。

     と言いながら、指差したのは20mと離れていない国道のあたり。
     ゲッ、それってマジ?

>でも、9月が最後で、それ以降は目撃情報は無いみたいですよ。

     オイオイ、ソレ先に言ってくれよぉ。
     本気でビビッちゃたよ。

>そうっスか、もう寒いから山に帰ってくれたんスかね。
  (コレって、自分で言っておきながら、なんだか意味不明。)
  ところで、こんな所でも結構クルマが通るんスね。
  この辺で、あんまりクルマの通らない場所ってあるんスか?
  星の写真撮るには、クルマのライトがない方がいいんスけどねぇ。

>あっ、それならありますよ。
  あそこなら全くクルマは通らなし街灯も無いからから、まさしく真っ暗ですよ。
  国道をこっちへ行って、最初の細い道を右折して、道なりに行けば広場になってますよ。
  ここからなら、大して時間もかからない所ですよ。

>えっ、そんな良い場所があったんスか。
  じゃ、これから行って見ようかなぁ。
  コリャありがたい情報だなぁ。
  ありがとうございます。

>・・・これからですか?
  ・・・あそこへ?
  ウーン、あこはねぇ、・・・怖いって言うか、気味が悪いっていうか・・・、
  自分は、どーも苦手な場所なんですけどねぇ。
  一人じゃやめた方がいいんじゃないですか?

     ゲゲッ、何だかスゴそうな所みたいだよ。
     見れば、身長は180cmはゆうにあるし、体重は100Kgは越えようかという筋肉質。
     さらに、腰には拳銃と警棒。
     そのお巡りさんが怖いってのは、治安やら何やらの、対人間的な問題じゃないだろう。
     って事は・・・。
     おーコワッ!
     ヤッ、ヤーメタッ。

>ヘッ、そんなスゴイ所っスか。
  オレ、やっぱりココで撮ってますワ。


そんな立ち話をする事、約15分。
話してみると、とっても親切で感じのいいお巡りさん。

ところが、この15分が致命傷だった。

お巡りさんと別れて、ふと気が付いたら、すっかり冷え切ってしまった体が震えて止まらない。
そうなると、クルマのヒーターくらいじゃ全然温まらないし、震えはヒドクなるばかり。

しっ、死ぬかも!
(アホ、死ぬ訳ないだろー。)

そして、次の瞬間には撤収作業開始。
(いつもながら軟弱だなぁ。)


でも、撮った写真には大満足!

前回は露出不足で、イマイチ寝ぼけたような写真ばかりだったけど、
今回は我ながらバッチリだった。
更に予期せぬ収穫も。

今回の撮影に使ったのは21mmの超広角レンズ。
超広角レンズってのは、広い範囲を写せる代わりに、遠くの物は小さく写るのが特徴。
たとえば、大きな満月なんか写しても、せいぜい米粒くらいのもの。
今回も、上手くいけばドーンと流れる天の川や、星座なんかはバッチリ写るだろうけど、
それ以外はまったく期待もしていなかった。
ところが写真の中央付近に、何やら怪しげな赤い影。

ウワッ! コレって北アメリカ星雲(1200光年)っていうやつかな?

上の写真を切り取って、チョット回転してみると、北アメリカ大陸の形にソックリ。
ラッキー!
更に右隣りには、薄っすらとペリカン星雲(2000光年)も写ってるぞ。
またまたラッキー!
コリャ間違いないぞ、インターネットの天文系サイトで見たのと同じだよぉ。
グワッハッハッ!
まさか奥日光でペリカンをゲットとはなぁ。
スッゲー!



星雲なんて言うと、天体望遠鏡で覗かないと見えない程の小さい物かと思ってたけど、
超広角レンズに写っちゃったよ。
って事は、物によっては、意外とデカイものなんだな。


そういえば、画面右上の方には、アンドロメダ大銀河(222万光年)も写ってる。
同じく切り取ってみると、



ウーン、ハッキリクッキリとは言えないけど、確かにあの円盤のような形が見えるぞ。
こちらは、満月の5倍の大きさがあるって、何かで読んだことがある。

北アメリカ星雲が1200光年、ペリカン星雲が2000光年、
アンドロメダ大銀河に至っては2,220,000光年!
そんな大昔の姿を見ることの出来る星空って、やっぱりスゴすぎだよなぁ。

いつもながらだけど今回の奥日光・戦場ヶ原も、来てよかった〜。
もうしばらくすれば、このあたりは雪で一面の銀世界。
今年は最後かもしれないけど、また来年来るからねー。
駐車場に街灯なんてつけないで下さいませー。
薄気味悪い広場で星見なんてゴメンですよ〜。




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